『想い』

『想い』とは

2015年

その住職のお寺(曹洞宗普門寺)は宮城県の沿岸部に位置し

3.11東日本大震災では甚大な被害を受け

墓石は根こそぎ倒され、骨堂までも波に洗われた。

ご遺骨は砂と一緒に流れ散らばってしまったのだ。

まだ、立ち入ることを禁じられていた時期にも拘らず

住職は、その砂を少しでも掬い集めようと寺に通いつづけた。

集めた砂は、やがて鎮魂の塚となる。

そんな住職のお人柄に人々は集まり

その人々は、また他の人々の為に力を尽くそうとしている。

そして、今も住職はご自分と闘いつつ、ご自身を泣き虫といい

様々な想いを抱え、人々の幸せを願いつづけている。

 

このお話をお聞きし、その塚を目にした時

塚と、その上に立つ観音菩薩が西日に浮かび上がっていた。

 

そんな住職の言葉をお借りして出来たのが

この曲である。

少しでも住職の想いを人々にお伝え出来たなら嬉しい。

 

 

 

歌詞

『想い』

あの日から 誰も居なくなった この海に

寂しがりの 住職が 独り

涙で 濡れた 砂つぶを

愛おしむように その手で 掬い始めた

空を見上げて 何を 祈るのだろう

 

あなたに 届きますように

伝えたかった その想い全部

泣き虫住職が 命を見つめ

語りつづけたる 夢は

あなたが帰る この海に

笑顔を 咲かすこと

 

 

あの日から 誰も居ないはずの この海に

住職の 涙を拭く 人々

砂つぶは 何時しか 菩薩の如く

抱くように 夕日に 現れた

風に向かって 何を 誓うのだろう

 

あなたの 想いを感じたくて

もう一度だけ 声を聞きたくて

泣き虫住職が この海を

離れられない 理由は

あなたの魂が 愛する人と

迷わずに 出逢えるように

 

 

あなたを 忘れないように

何度でも 思い出させるように

泣き虫住職が その身を削り

唱えつづける 意味は

百年先も 千年先までも

想いが 繋がるように

 

いつの日か この海に

笑い声が 響きますように