温度差( ; ; )

西の友を襲った大雨。

前代未聞の水害。

消えて行く報道。

薄れる記憶。

そして被災への温度差。

 

東日本大震災の時もそうだったように、「離れた地域、県」と「被災地、被災県」の温度差は言うまでもない。とは言え、致し方ない部分があるだろう。

しかし私自身は東日本大震災当時、同じ地域内での温度差の方が辛かった記憶がある。

被災地という同じ括りにありながら、一時的な停電と断水を経験したという以外に被害がなかった方々と、家ごと、家族もろとも失った方々。そこには悲しい程の温度差があり、残り、今尚つづいている。それが現実なのである。

それは、以前のブログ内でも書いているように、学生さんたちに「詩うたい」でお伝えしているように

「経験していないことは実感することは出来ない。だから、わからなくて当たり前。わかろうとすること、たくさんの方々からお聞きし教えていただくことが大切。それが寄り添うことに繋がるのだと思う。」

だから、わからなくて当たり前なのである。

という前提に立った上で、それでも

同じ地域にあっては、なるべく思いやりを持って考え行動していただければと思うことを多々経験した。その方に悪気がないのはわかっている。でも西日本の映像を目にし辛かったことを思い出してている。

わかりやすいエピソードをひとつ。

 

その家では沿岸部に嫁いだ娘の家が流出。全てを失った。幸い命は家族、親族みんな助かった。高台にあるその家では地震によって屋根瓦が少し落ち雨漏りするようになった程度だった。娘家族は孫とともに避難してくることとなった。そして6月、仮設住宅に入居が決まり引っ越す。

ある日の朝早く。娘の携帯が鳴った。実家の母親からである。

「あのさ!うちの瓦、うちの人たち(父親、弟)誰も直してくれないんだけど何とかしてくれない?〇〇さん(夫)なら出来るよね。畳はボロボロだから変えたいし、カーテンも変えたいんだけど安いの探してくれないかな。」と一方的にまくし立てた。

口には出さないものの娘は思う。

『はぁー!?夫は瓦やでもなんでもない。少し器用なぐらいで何を言っているの!畳?カーテン?確かに仕事で少し関連した業者さんを知ってはいるけど畳屋でもカーテン屋でもない。しかも、このご時世どこの業者さんも大変な状況を何とかこなしている。自分たちは今仮設住宅にいて明日のことすらわからない。母親のクセに何を呑気なことを言ってるわけ?信じられない!』

この母親、実は3月11日にこんな発言もしている。帰宅出来ないまま実家に避難した娘家族。娘は出来る限り明るく振る舞う。そして笑った。大丈夫。何とかなる。と。それを見た母親は言った。

「あんたバカじゃないの!家流されて何で笑ってんの?みんな大変な時に!」

『…』

この時の娘は言葉を返す気にすらならなかった。

 

そうなのだ。例え親であろうと分からないのだ。母親に悪気はない。本心を口にしただけ。だから、温度差は辛いし、無くならないのだ。

そのことをもっともっと伝えておくべきだった。たくさんの人たちに、たくさんの地域の方々に。分からないからこそ、考えて、聞いて、思いやりを持って接して欲しいから。

近くにいる同じ地域の方々同士が助け合ったなら、こんなに心強いことはない。現実的なロスも少ない。

どうぞ、隣町の被害から目を背けないでください。お隣の床を気遣ってみてください。

どうかお願いいたします。

 

それと、逆もあることを知って欲しい。

 

被災地域にあって、何も被害を受けず、何も不自由なく暮らせてしまっていることで、後ろめたさに似た想いに苛まれてしまう人々がいること。その人は何も悪くないのに…

その辛さは想像以上だと思う。

それでもそんな時は片付けの手伝いに行ってみませんか?

 

何も行動に移せていない私が言えた義理でないことは承知の上で申し上げました。

災害によって命を落とされた方々のご冥福をお祈りいたします。

そして、西の友に一日も早く平穏な日が訪れますように。